HDD/DVD録画機を使いこなす[比較編]
P社とT社を比較する
編集機能を比較する
P社実践例
T社実践例
RD-E160の驚き
基本用語
超バグ警報
 パイオニア社のDVR-710H(以下、P社と略す)と東芝社のRD-XS36(以下、T社と略す)を比較してみた。およそ、この種の製品を買って説明書をちゃんと理解できるユーザは、どれだけいるのだろうか。恐らく、このHDD/DVD録画機はこれまで出て来た家電と言われる機器の中で、もっとも複雑な装置には違いない。だが、分かりにくさの背景には本体機能が整理されていない事と、マニュアルがユーザ向けの物ではなく何故か製品仕様書をそのままマニュアルに置き換えたような物になっているという、2大要因があると思う。本ページでは、筆者が実際に購入した上記2製品について比較検討しながら、効率良く使いこなすにはどうしたらいいのかをまとめてみたい。なお、基本的にカタログを比べればすぐに分かるような話は、なるべく簡略化するか省いている。また、各説明中のリンクをクリックすると、別ウィンドウに更に詳しい話が出るようにしてある。お役に立てれば幸いである。

  • 本体機能
    機能としては、間違いなくT社の方が凝っている。その分、整理統合が出来ていない。特にコマンド体系が実際に使う上での操作フローを全く意識しておらず、単純に機能を分割して別メニューにしているから、実作業を行う時にメニューの間を頻繁に行き来する必要が出る。P社の方はそうしたコマンド体系はスッキリしており、スムーズな作業が行える。P社にはネット機能は無く、パソコンとの連動は出来ないが、その分、簡単に使う上では覚え易い。マニアックな向きにはT社、一般にはP社のが使いやすいのではないかと思う。

  • 二カ国語
    マニュアルにはっきりとは出ていないこの機能、P社ではHD上に二カ国語の記録は出来ない。可能なのは、DVD-RWメディア上でのVRモードへの直接記録のみである。T社はHD上での記録方式に二カ国語対応かそうでないかの2種類を選べる。ところが、今度はこれをDVDメディアに移す時に可能な場合とそうでない場合とがあり、これが話を大きくややこしくしている。
    P社の場合は、かように単純明快である。出来ない、と割り切って使えばよい。問題はT社である。説明書を良く読むと、HDの録画モードの中に、画質とは別にDVD互換という選択肢があるからである。DVD互換をオンにすると、二カ国語音声は主か副のどちらかしか選べない。外部入力から二カ国語を左右に分けた状態で受け取る場合には、左右のどちらかの信号のみを選ぶ事になる。そして、DVD互換モードをオンにした場合のみ、DVD-RかRWにvideoモードで高速ダビング(用語については基本用語を参照)する事が可能となっているのである。更にややこしい事に、この設定が2箇所ある。まず一つ目は録画予約の時に決められる設定である。もう一つは本体設定の中にあって、こちらはデフォルトの設定という事になろう。ところが、実際にやってみると、DVD互換をオフにしていても、二カ国語音声を記録していなければ、videoモードでの高速ダビングは出来るのである。これはマニュアルには書いていない。

  • マニュアル
    P社は小冊子という感じだが、T社のは巨大の一語。ちょっとした雑誌並みである。内容については、どちらも似たような構成だが、T社の方が機能が多い分、非常にややこしく難解な印象を受ける。どちらにも共通して言える問題は、機能の羅列で書かれている事である。具体的な操作手順を前提とした書き方になっていないから、一般ユーザは最初に放り出すに違いない。それでもまだP社の方は分かり易い部類だと思う。いきなり録画先をHDにするかDVDにするかという、この方面に詳しいマニアでもなければ分からない選択肢で始まるものの、それでも物は試しに録画してみる、という話から始まるからである。
    凄いのはT社のマニュアルだ。まずディスクの種類と記録モードの説明で始まり、次がディスクの初期化になり、次にディスク上への録画の話になり、その次が予約を含む様々な録画のやり方の説明となり、その次がW録画の話になって、その次がW録画の目玉でもある裏番組録画の話である。普通、こういう機器を使う場合、とりあえずHDに録画してみるというのが最初にすべき事じゃないかと思うのだが、そういう項目は何時まで経っても出て来ない。この先に続くのは外部チューナからの予約、Gコード予約という具合なのだ。

  • あちこちにかかる時間
    まず起動時間。これはP社の圧勝である。電源を入れて、5秒足らずでライン出力に音声と映像信号が出始める。リモコンなどの操作が可能になるのは、そこから更に2秒程度である。ディスクをドライブに入れると、その認識には15秒ほどの時間を認識に要するが、その間もディスクに関係ないコマンドはリモコンで受け付ける。電源をオフにして実際に装置の電源が切れるのに4秒強。
    これに対し、T社の方は電源オン後、ライン出力に信号が出るのに11秒、更に内部HDがレディになって実際に操作可能になるのに7秒など、合計20秒がかかる。これはディスクドライブに何も入っていない場合で、起動後にディスクを認識するのにかかる時間は、ドライブの扉を閉めてからDVR-RW媒体で23秒、DVD-RAMで27秒というところだ。ちなみにDVD-RAMがドライブに入っていると、電源オンから操作可能になるのに40秒かかる。この間、リモコンなどからの指令は受付ない。電源オフを指示してから、実際に装置の電源が落ちるのにも15秒かかる。
    面白いのは、これとも関係するのか、予約録画の時の動作である。P社は予約開始時刻の3分ほど前に本体の電源が入る。これに対してT社の方は予約録画開始時刻の何と10分も前から電源が入るのである。

  • DVD作成時のオプション
    特に断りなき場合、本項ではvideoモードの話をする。で、これはT社の方が圧倒的に豊富である。
    まずP社のは単純な形でしか作成出来ない。基本的にP社の方は複数のトラック(番組)を1枚のDVDにコピーし、最後にファイナライズ操作をしてDVDを完成させる。その時、DVD上のメニューはトラック(番組)単位での画面しか作れない。また、DVD再生も最初の番組からいきなり始まる形式のみであり、メニューボタンを押して初めてメニュー画面が出るDVDとなる。最初の番組再生が終わると自動的に次の番組再生となり、最終番組が終了するとストップになってメニューには行かない。それと、良く分からない点だが、ディスクそのもののVolume名(パソコンに入れた場合にディスクの名前として出るアレ)がLOGCAL_VOLUME_IDENTIFIERという文字列になって、この為かPC搭載のドライブによっては、そのままDVD再生が出来ない場合がある。少なくともPioneer製ドライブではDVD再生が出来ないようだ。中のVideo_TSフォルダを一旦取り出し、別の媒体に別のVolume名で改めてDVDとして書き込んでやると再生出来る。P社のDVDファイナライズ場面をこちらに示す
    T社の方は、複数の番組を選択し、一気にDVD作成を行う事も、個別に番組をDVD上にコピー、或は録画してから、ファイナライズ操作を後で行う事も出来る。融通が効くようだが、例によってその分機能が複雑でわかりにくいのが問題だ。作成するDVDでは、ディスク再生時に最初にメニューを出すか、本編再生をいきなり始めるかを選べるし、メニューもトラック(番組)単位だけではなく、各トラックのチャプター単位のものも作成できる。また、メニューの背景画像にテレビ番組画面を取り込んだり、ネット機能を使ってパソコン上で作成したBMPファイルを使う事も出来る。ただし、メニュー画面1枚あたりのトラック(番組)数は6で固定されているので、例えばDVD1枚に2トラックだけだとメニュー画面の下が広く空くという課題はある。P社の場面例で分かるように、P社では1メニュー画面あたりのトラック数を3、4、6と選べるからだ。こちらにT社ファイナライズ時の設定画面例を示す。なお、T社の作るDVDディスクのVolume名は単純なUntitledとなっている。

  • 後追い再生
    P社の方はディスク内容一覧場面に行くと、録画中と書かれたアイコンがあり、そこへカーソルを合わせてやれば録画中のトラックの一番最初から再生が始まる。分かり易い。
    T社の方で同じ事をやると、エラーが表示されて再生出来ない。実はリモコン上のタイムスリップというボタンを押さなくてはならない(下のリモコン記述の画像参照)。また、それを押した時には、当該トラックの「今録画中の時刻」から再生が始まる。つまり、現在の放送と全く同じ時点での再生となる訳だ。番組の頭から見たいのであれば、巻き戻しボタンを押すか、チャプタースキップボタンで頭まで戻る必要がある。

  • 画面表示
    どちらの機種も画面に各種状態を表示する機能はあるが、P社の方が実用的な出方をするように思う。特に手動で録画する時に、録画モードを変えたい場合(LPとかSPのように)、このように違いが顕著である。
    P社の場合は変更内容が画面に数秒間表示されてから消える形式が選べるが、T社にはそのような機能はない。T社でそれを知りたいのであれば、表示ボタンを押して画面に状態一覧を出す必要があるが、その時に全情報を表示させないと録画モードは出て来ない上に、小さく出ていて一見して分かりにくい。結構重要な情報だと思うが、不便である。P社なら即座に設定出来る事が、T社では随分手間どる。
    他に、例えばT社では録画した番組を再生しながら、画面表示をさせてもその録画データの情報が殆ど出ない。録画モードがLPかSPかなども分からない。それを見るには一旦「見るナビ」に行き、当該番組のアイコンを選択して情報を表示させなくてはならない。

  • 再生中断場所の記憶
    どちらも録画した番組を途中まで見てストップした時に、次の再生には中断した場所から始める機能があるが、P社の場合はストップする時にストップボタンをもう一度押すと、中断場所を記憶しないという仕掛けがある。T社の場合はそういう事は出来ず、必ず覚えるか全く覚えないかのどちらかである。

  • 非高速ダビング
    高速「でない」ダビング時(変な言い方を書いたが、メーカ間で用語が統一されていないので、敢えてこのように書いた)、P社はオリジナルデータに入っているチャプター情報は転写されない。10分毎か15分毎(のどちらか)にチャプター信号が入ってコピーされる。一方、T社の方はオリジナルのチャプター情報を持ったまま、コピーする事が出来る。

  • ネット機能
    P社にはこの機能はない。T社の場合は、この機能を使ってパソコン上から録画予約の設定、録画した番組の題名入力、各チャプターの名前入力、メニュー背景画面の登録などが可能である。ただし、本体がテレビ画面上に番組一覧を表示している(編集画面等も含む)場合には、パソコンからの操作は出来ない。また、データのフォルダ間移動、消去などもパソコンからは出来ない。録画中の番組題名の変更も出来ず、案外出来る事は少ない。ネットからの録画予約機能もあるが、これは試していないので評価はしない。予約しておいた番組には、電子番組情報と照らし合わせてその内容が自動的に記入される事があって、それは便利でもあり、驚いたりもする。

  • リモコン
    T社はリモコンも大きい。力学的な安定は悪く無く、実際に使っていてテーブルから転げ落ちるような事はないのだが、ボタンの配列やその使い方は全くこなれていない。まずは両社リモコンを比較してあるので、こちらを参照しながら以下を読んで頂きたい。
    T社の使いにくい例を上げよう。事前に録画した番組を再生する時には、ちょっと早送りしたり、スローにしたり、停止したり、或はチャプターを飛ばしたりする訳だが、T社のリモコンはこのようにチャプタースキップのボタンが離れた所にあって、普通の持ち方では指が伸びず、非常に使いにくい。また、編集ナビ内の操作等に於いても、時として使うボタンに「ズーム」が指定されるのだが、そのボタンが何とリモコンの一番下にあったりする。また、これはボタン配置ではなく機能の問題だが、実際に編集する上でチャプター設定点を探そうとする時、スローボタンの動作が使いにくいのである。普通、チャプター設定をする時は、一時停止で画面を止め、そこから前後に微調整して位置決めをすると思う。ところが、一時停止状態でスローボタンを押すと、一回目が多分1/2速度再生、二回押すと秒4コマ位、三回で秒2コマ位(これは公開されていないので見た目による推測)となり、それ以上押すと再び、4コマ、1/2速度という具合になるので、思っていた場所をあっという間に通り過ぎてしまうのである。コマ送りボタンはあるが、認識がノロマで一回ずつ丁寧に押さないとコマを送ってくれない。押しっぱなしにしても連続動作はしてくれない。その一方で早送りについては全く動きが逆で、押す度に早送りの速度が増す。最大になってから更に押すと今度は次第に速度が落ち、もっと続けると再び速くなる。
    これと比べるとP社のは分かり易い。コマ送りも押しっぱなしにしていると、コマ送りを連続して繰り返す。スローも最初は最も遅い送りになり、押す度に少しずつ速くなる。早送りは最大に達すると、それ以上何度押してもその速度のままである。こちらの方が直感的に非常に使いやすい。良く見ると、コマ送りボタン(再生停止の右下)も、再生時にはスロー送りになり、一時停止時にはコマ送りになるなど、うまく機能を振り分けているのも分かる。
    T社に戻ると、市販のDVDを再生する時に使うであろう、音声切換え、字幕、メニューなどのボタンが隠し扉(図中でフタとある所)の奥に入っている。かように見て来ると、とにかく大型のリモコンだが、この大きさに必然性は感じられない。敢えて言うなら、両手で操作するために大きくしたのであろうか。液晶が上部にあるのも意味不明だ。
    その他、P社のリモコンで優れているのは、録画の停止ボタンと再生の停止ボタンが別個にある点だ。T社では現在放送中のものを手動で録画しながら、別のデータを再生中、停止ボタンを間違って2回押すと先の録画が中断してしまうが、P社にはそのような危険はないからである。また、P社では予約録画実行中に、リモコンによる予約解除が可能である。録画ボタンを数秒間押し続ける事で、解除可能となる。T社は本体まで歩いて行き、停止ボタンを2度押す必要がある。更にT社にはW録画機能があるので、現在録画中の番組を画面に出している状態にしないと、録画解除が出来ない。W録画とはチューナが二つある事なので、録画とは別のラインを画面に出している状態では、解除出来ないのであり、慣れないと戸惑う。

  • CMスキップ
    T社はワンタッチスキップと言っている。リモコンの当該ボタンを押す度に一定時間、再生中のものが進む仕掛けである。P社の場合は30秒で固定であるが、T社の場合は本体の設定で5秒、10秒、30秒、5分という4つのどれかに変えられる。P社の場合は連続して押すと3分(6回押せばいい)まで一気にスキップさせる事が出来る。一方、T社の場合は連続を受付ない。スキップが終わるのを見てからまた押さなくてはならない。また、T社の場合はワンタッチリプレイというボタンがあって、例えばスキップした時点から少し(標準設定で5秒)後戻りする事が可能。もっとも、早送りや巻き戻しボタンが使いやすければ、その方が良さそうな気はするが。

  • 早送り音声再生
    どちらにもあるが、P社の方が聴き取りにくい。P社のは一定間隔で音声を切り出し、それを間引いてから再度並べているようだ。だからピッチ(声の高さ)は変わらないが、しゃべっているのか唄っているのかの違いは分かっても、言っている事の内容は殆ど分からない。これに対しT社の方は、いわゆるテープレコーダの早回しに近く、声のピッチは高くなるが、注意すればある程度は内容を聞き分けられるようである。

  • クイックメニュー
    T社のリモコンにあるボタン(十字キーの右下、スローの上にある青い小さなボタン)を押すと、画面に機能一覧がポップアップして、そこから目的の機能へ一発で飛べる仕掛けである。確かにクイックと言えばクイックなのだが、これがまた整理されていなくて、「そこにある事を知らないと使えない」ものが結構ある。ディスクの初期化が番組表示の画面中で可能であるとか、フォルダ内一括移動がフォルダ表示上にカーソルがある時のみ現れるのは、一見便利なようでかえって混乱を招くような気がする。しかも簡単ナビ(黄色い丸いボタン)なんてのまである始末で、その前に機能構成の整理を優先すべきではなかろうか。

  • その他
    T社は録画の時間帯の認識に疑問な点がある。ある番組を1時00分から2時00分まで予約し、次に別番組を2時00分から3時00分まで予約しようとすると「時間が重なっている」と怒られるのだ。前番組を1時00分から1時59分とすればこのようには言われないが、実際に録画されるのは間違いなく59分までで、次の1分間は録画されない。これに対しP社はそのような事はない。
    又、P社は録画開始が1時00分でも実際の録画はその数秒前から開始される。だから時報と同時に番組がきちっと始まる場合でも、頭が切れる事がない。あとで編集する時も楽である。これに対し、T社の方は時報と同時に録画が始まるために、頭に1フレームかそこらのゴミが入る。これを編集で取り除くのは至難の業で、結局1分前から予約させるのがベターであるという裏技を使うはめになる。
    予約録画を例えばテレビ番組のあるチャンネルに設定しているとしよう。その前はライン入力モードで外部チューナからの番組を見ていたとする。P社の場合は録画が終了すると、入力はラインに戻っている。T社の方は終了後も番組の当該チャンネルのままである。P社でも録画中に中断をさせるとそのチャンネルのままになる。
    T社では、チャプタースキップを行うと、最後にそのトラック(番組)の一番最後まで行って停止する。P社の場合、それをやるとすぐに次のトラックの再生が始まるので、実は当該トラックの最後尾へ行くのが難しい。
    一般にDVD媒体への書込みには時間がかかるが、T社の方は終了時にブザーを鳴らす機能がある。P社にはそれはなく、画面に一定時間のメッセージは出るが、音は出ない。また作成後に自動的に電源を切る機能はP社にはない。
    P社の場合、番組一覧のアイコン表示で、アイコンにカーソルを合わせ、少し時間が経つとそのアイコン内で番組再生が始まる。T社はプレビューや再生を指示するまで何も起きない。ただし、T社のプレビュー機能は、当該チャプターの頭部分と最後尾部分の数秒ずつを再生する事が出来て、これは良いアイデアである。

  • 裏技?
    T社で録画したデータをVRモードでDVD-RWに高速ダビング、それを今度はP社の方で高速読み込みをすると読み込める。ただし、クロックか何かのズレがあるのか、そのデータをP社上でvideoモードに高速ダビングしたものを、DVD再生すると音声が乱れる。
    逆にP社で録画したデータをVRモードでDVD-RWに高速ダビングしたものは、T社の方では自分で作成したデータではないと言って受け付けない。なお、いずれも高速ダビングさえしなければ、移す事ができる(当たり前だが)。

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