HDD/DVD録画機を使いこなす[T社の実際]
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RD-E160の驚き
基本用語
超バグ警報
 東芝社のRD-E160を買ってみた。実売価格で5万を割り、サブ機として買ってみたものである。地上デジタルチューナ搭載で、ハイビジョン番組をそのまま(TS信号のまま)記録出来る事と、W録というのがウリである。内蔵HDが160GBで昨今では一番小さな容量となったが、その分価格が安く設定されていると言えよう。機能としても上級機に特に見劣りするものではなかったのだが、買ってみて驚いたのは、カタログスペックに現れない数々の使いにくさであった。以下、それを順に解説しよう。

★なお、本機は「W録」と銘打っているが、片方はデジタル放送のTS録画オンリーである。従って、例えば地上アナログ放送と外部入力との同時録画のような事は出来ない。その意味で「W録」という宣伝コピーには多少疑問を感じる。

 本機を使うユーザは忍耐力を鍛えられる事請け合いである。本コーナーでは、T社のRD-XS36の使いにくさを幾つも列挙してきたが、このRD-E160を使ったあとではRD-XS36が輝いて見えてきた。

  • とにかく遅い
     買ってきてセットアップをし、電源を入れて最初に驚いたのが起動時間の長さであった。電源を入れ、本体正面に「WAIT」という文字が出てから待たされる事、なんと40秒。それまでテレビモニタ画面は殆ど真っ黒である。PioneerのDVR-710Hは数秒で画面が出てREADYになるし、RD-XS36でさえREADYになる前にとりあえず画面だけは出た。ところがこのRD-E160は果たして起動しているのかすら分からずに画面が最後まで真っ黒なままである(正確には起動完了数秒前には出るが)。初めて電源を入れた時、一体正常に動作しているのかと何度も電源スイッチを押してしまったほどだ。

     そして、更に驚いたのが「見るナビ」や「編集ナビ」での画面書き換えの遅さであった。まるでスローモーションのビデオを見ているかのようである。この感覚、どこかで感じた覚えがあると思ったら、今をさかのぼる事はるか20年も前、まだよちよち歩きだったパソコン上で動作するグラフィックスソフトのレスポンスだった。 その様子をムービーにしてみた。Divxコーデックが必要。これは編集ナビ内でチャプター編集を選び、更に前方向チャプター画面にスクロールするところである。言うまでもなく、スローにしている訳ではない。

     このRD-E160を使ってから、RD-XS36に戻るとXS36が物凄い高速マシンに見えてくる。こうまで遅いとなると、制御プロセッサに低速度のものを使っているか、或いはキャッシュメモリをケチった事が考えられる。コストダウン優先だと思うが、試しにこれで50分ほどのドラマを5つ連続録画してあるVHSテープをダビング録画し、そのムービーからそれぞれのドラマの中に4個所あるCMをカットしてドラマ毎にプレイリストを作成する作業をしたら、何と2時間もかかった。これに匹敵するスロー編集環境というと、アイオーのRecPotでチャプター編集をする環境くらいだろう。こういうファクターはカタログには出て来ない。そういう所では幾らでもパーツを削るという方針なのであろう。

  • 使いにくいコマンドと機能
     RD-XS36もやたらと機能が整理されていなくて分かりにくい部分が多々あったが、このRD-E160はその比ではない。XS36ではあちこちで「クイックメニュー」というボタンを押す事で機能を呼び出す事が出来、そこから先に行く事が出来たのだが、このE160はその「クイックメニュー」に出てくる機能と、「編集ナビ」などの機能ボタンで出てくる機能が入り組んでいる上に、操作手順が交錯しているという具合で、極めて分かりにくくなってしまっているのだ。

     例えば、上記2時間作業で何をしたかというと、まず録画したデータを再生、早送りなどをしながら編集点にチャプターを入れる。さて、そこで止まってしまった。 リモコンにチャプターボタンが無いのである。よっく探したら何とテンキーの「11」に小さく付記してある。XS36ではリモコンの再生ボタンや早送りボタンのすぐ傍にチャプターボタンがあったが、E160では距離が開いてしまい片手で効率的な操作が出来ない。30秒スキップのボタンもこのE160では十字キーの脇に置かれてしまい、これも遠くに行った。一連の操作を行う上で、どれだけ指を動かさなくてはならないかを右図で比べれば、その差は明らか。E160では片手での操作がほぼ不可能であるのが分かる。恐らくは、リモコンを使いやすくする為にボタンを減らせ、という至上命令でも出たのではなかろうか。だが操作の手順を考えた配置からはほど遠く、本末転倒を絵に描いたような結果となった。

     しかも編集点を決定してから今度はプレイリスト編集に移ろうとすると、これがまた分かりにくい。編集ナビに行っただけではサブメニューが見あたらない。当該データのアイコンを選んで「クイックメニュー」を開くと、そこには「奇数チャプター作成」なんてなのが出てくる一方で、チャプター編集というのが出て来ない。 調べてみると、何と「クイックメニュー」ではなく「決定キー」を押せとある。XS36ではそういう迷いはなかった。編集メニュー画面には更にサブメニューの一覧が現れ、そこからしかるべきサブ機能へとすぐに行けたからである。

     チャプターのプレビューもクイックメニューでは出て来ない。はてと思ったら、何と「再生キー」になっている。クイックの方には「プレイリストのつなぎ目確認」というのがあり、それは作成したプレイリストのチャプター境界付近の前後を次々に再生していくもので、XS36の「パーツのプレビュー」を連続して行うような機能である。これそのものは便利かもしれないが、クイックメニューに何故当該チャプターのみのプレビューが入っていないのか、全く納得が行かない。入り口がこうなっていると、出口も怪奇である。編集ナビの中で「戻る」とどこへ行くか見当もつかなくなるからだ。編集ナビの中で「クイックメニュー」を出してみると、タイトル名変更だのサムネール変更だのが出て来て、実際問題として「見るナビ」と「編集ナビ」がゴチャゴチャになっているのが分かる。

     プレイリスト編集画面を右に示す。クイックメニューに「チャプタープレビュー」が無いのが分かる。 実は再生ボタンがそれであると下の方に出ている。普通、なかなか気がつかないのではないかと思う。更に、クイックメニューを良く見ると「新規プレイリスト作成」というのがある。実は、あるデータの一部分を何度も取り出してプレイリストを作ろうとする場合、プレイリストのパーツを並べたらここにある「新規プレイリスト作成」を行えば、連続して新しいプレイリストを作れるのだが、画面下にある「完了」を押してしまうとプレイリスト編集からあっさりと抜けてしまうのだ。RD-XS36ではそんな事はない。クイックメニューではなく、この「完了」とある所に「新規作成」があるからだ。プレイリスト編集作業から抜けたければ「戻る」を押せば良い。これも理解に苦しむコマント構成であろう。

     結局のところ何故こうなったかであるが、恐らくは大勢が寄ってたかって「あれを入れろ」「これを入れろ」とやったからではなかろうか。RD-XS36も相当機能がゴチャゴチャしているが、まだ全体の構造には秩序があった。このE160はその点で滅茶滅茶である。「常に要望を取り入れて」「改良した」結果、支離滅裂なものへとなっていく、まさに日本のメーカの面目躍如と言えよう。ここに上げたのは全機能の一部にすぎないがこうである。

     その他、パソコン側からWWWブラウザを使ってリモコン操作をするネットdeナビも、何だか反応が非常に遅い上に、妙に画面に凝ったり、操作手順が増えたりしていて「改良」の成果を見てとれる。また、こうして機能がゴチャゴチャしている一方で、ルートディレクトリが空になると、ポインタが一番古いムービーのあるフォルダに勝手に飛ぶような点は直っていない。開発者は実際に使ってみて妙に思わないのだろうか。

  • 説明書は5冊!
     RD-XS36はアナログ放送用であったが、このE160はデジタル放送対応なので、更に話がややこしくなるであろう事は想像出来たものの、それにしても5冊とは恐れ入った。ざっとめくってみると、およそ半分くらいが各種DVD記録メディアに関する説明と、デジタル放送のプロテクト関連である。これについては辛口子としても同情の余地はある。あまりに書かなくてはならない事が多いというのは良く理解できるからである。万策尽きたというところだろうか、何とかしようという努力があちこちに見られる。リモコンが2つ付いて来る事とか(片方を「かんたんリモコン」と言ってボタンが少ない。が、もう片方のリモコンも前項に書いたとおりで妙にボタンを減らそうとして失敗している)、かんたん設定説明書がある事とかであるが、一番笑えたのが「有料出張説明サービス申込書」であった。どうしても分からない人の為に、係員が説明に出向いてくれるというのである。

     だがそもそも、係員に通り一遍説明してもらって分かる話だとも思えない。しかもこれだけ説明書に色々と書かれている事のうち、現実には事実上出来ない事が非常に多いのだから実際、アホらしいのではなかろうか。デジタル放送には全てコピーワンスのプロテクトがかかっているからだ。デジタル放送の録画に関してのみ説明書を書いたとしたら、ずっと量は減るかもしれない。延々と説明をしたあとで、ただしあれは出来ません、これは出来ませんなどと書く必要もないからである。日本のデジタル放送プロテクトが、大義名分で言う著作者の権利保護などでない事は「全ての放送にプロテクトがかかっている」だけで明らかである。例えば、著作者(ミュージシャンのような)が、自分のコンテンツに関しては宣伝をしたいからノンプロテクトで放送してくれ、と言ってもそれは出来ないのだ。これで得をするのは誰か。まあ本件とは直接の関係はないので、これについてはここまでにしておく。

 という訳で、非常に疲れるマシンであることの一端なりとも、ご理解いただけたであろうか。他にも、「おまかせ機能」というユーザをアホと見なしているような機能や、D端子から出る信号がハイビジョン放送でも自動的に解像度切換えをしない事とか、手動で解像度を変えるとS端子の信号も変わってしまうなども不可思議な仕様だ(普通のテレビだと映らなくなる)。その一方で、底面がカマボコ状で安定の悪いリモコン形状などはしっかりと受け継いでいるのである。

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