MacProとRAID環境を評価する
評価の環境
RAIDの効果は
マルチCPUの効果は
LED Cinema Display
 このMacProに使われているプロセッサはハイパースレッドと言って、一つのCPUで2つのデータ処理を見かけ上同時に行う事が出来る。これはCPUの処理速度に比べてどうしてもメモリが追いつかない為、一つの処理結果をメモリに送り出している間に別の処理を行うという技を使ったものだ。OSからもスレッド単位で処理が見えるので、CPU処理をチェックするツールを使うと全部で16個の数値がズラリと並ぶ。iMacでは無論2つしか数値が現れない。

 しかしながら、これはMacProがiMacの8倍速い事は意味しない。マルチCPUをきちっと使うためにはアプリの方にもそれなりの対応が必要で、実は本項のチェックでその典型例がはからずも明らかになった。

 さて、それでは最初の例を示そう。これはVueのバージョン6による結果である。ここでは通常のレイトレーシングを使ったCerro Vardeというデータと、ラジオシティを使ったRoom Radiosityというデータでいずれもシーンファイルとしてディスクに入っている。レンダ条件を同一に設定し(Finalを選択)、開始から終了までをストップウォッチで測った。結果は次のとおり。

 このように、マルチCPUの威力が顕著に出ている。レンダ中のCPUメータを見てもどれも満遍なく使われている事が分かる。おおよそiMacの4倍程度の速度が出ているので妥当な結果であろう。

 次にBryceを評価してみた。適当なサンプルがディスクには付属してないので、自分で作った立体マテリアルの応用データを用いている。測定値はレンダ終了後に出るレポートの数値である。バージョンは6.0と6.1を使用した。6.0はPPCアプリであり、6.1はIntelとのユニバーサルである。従って、6.0はRosetta環境での動作となる。結果は次のようになった。

 CPUの稼働状態はBryce6.0の場合を示した。6.1でも傾向は良く似ている。スレッドまでは使っていないがマルチCPUへの分散処理はされているのが分かる。数値を見ると、Rosetta環境の影響か6.0より6.1がおよそ倍くらい速く処理しており、iMacと比べてMacProは約4倍弱の速度を出していると言える。例外はRender To Disk(ディスクレンダー)であって、6.0では図で分かるように動いているのは一つのCPUだけである。時間測定は馬鹿らしいので割愛した。一方、6.1ではディスクレンダーでも処理分散が行われており、ここで示さなかったがそれなりの処理速度が得られている。

 さて次はこのようにBryceでも処理の分散が行われているという結果が出たが、ある種の処理ではそうではなかったという報告である。Bryceの6.1でHDRIを使った処理をするとおかしな結果となるようだ(6.0にはHDRI機能はない)。ここで使ったデータはディスクに入っているBarren10というサンプル。通常のレンダ操作であり設定などはファイルのまま変えていない。これもレンダ終了後に出るレポート画面の数値を使った。結果は次のようになった。

 見て分かるように、何とMacProの方が2倍半ほども遅いという衝撃の結果である。CPUメータを調べてみるとまずスレッドの片方は全く使われていない上に、そもそもCPUの使用率が低い。ここには掲載していないがiMacの方ではもっとCPUメータが振れる。この事から考え、何かアプリの中で処理が衝突でもしているのか、CPUが2つを越えるとCPUに順に処理を割り当てる為に切り替えるオーバーヘッドばかりが目立つようになってしまい、トータルとして処理そのものへかけられる時間が減っているのではないかと思う。実は、このバージョン6.1はバグが多く、全くそれがアップデートされていないというのが現実だ。HDRIの処理を後から組み込んだ為に、無理が生じているのであろう。

 一般論としては、古いアプリである程マルチCPUの効果が薄いと考えられるのだが、このように例外もある訳だ。ただ通常は新しいほど対応度は良いのであって、辛口子の所で調べてみると、例えばiTunesの音楽データをスキャンして音量を揃えるiVolume3というツールがあるが、これなどはCPUのマルチ化を効率良く使い、威力絶大であった。Photoshopのフィルタなどでも種類によって対応は色々のようである。改めてマルチCPUの恩恵を受けるには、アプリの選択も重要であると認識することとなった。そしてそれはカタログスペックには現れないので、試してみるまでは分からないのである。


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