安価なブルーレイ再生環境を評価する
PS3は使えるか
MacとPS3を繋ぐ
HBD-0800
DVD画質を比較する
手軽なサラウンド
 PS3については基本的に2009.01.04付のミニコラムに書いた事とほぼ同様である。ミニコラムの時より一回、ファームウェアの更新が行われたが(システムソフトウェア=2.60)、問題点に変わりはなかった。AV機器として見た場合の不満点を以下、列挙する。(2010.9、AVCRECについて記述追加→下方)

  • 騒音レベルが高い
     AV機器として見た場合、一番気になるのが騒音である。ファン音はアイドリング状態ではそんなに大きくない。しかし、ブルーレイディスクを指し込んで再生を始めると、CPUが熱くなるからであろう、ファンの回転も次第に速くうるさくなる。それと同時にディスクの風切り音も聞えて来るので、これを視聴席の近くに置いていたらかなり気になるに違いない。比較としては例えばPS2(厚いモデル)よりも明らかに高レベルである。
     実はゲーム機として見たら、任天堂のWiiも結構うるさいのでこのPS3が特に大騒音という訳ではない。しかしAV機器として見たら話は別である。例えば、ブルーレイ録画機であるPanasonicのDIGAシリーズや、別項で紹介しているブルーレイ・プレーヤ HBD-0800などよりPS3の騒音は桁違いに大きい。またこれに関連して、PS3から出てくる風がかなり熱い。それだけ内部発熱が大きい事と、消費電力も少なくない事が伺える。

  • 音声出力は1系統のみしか使えない (システム3.0でようやく改善された→下註)
     AV機器として見た場合次に問題なのは、音声出力が一個所しか選べない点である。例えば、液晶テレビにはHDMIで接続し、サラウンドアンプには光ケーブルで接続したとする(HDMIをチェーンにする方法はあるが、全ての装置が対応している訳ではない)。この時、不思議なことにPS3からはHDMIか光端子のどちらか片方にしか音声出力を設定出来ないのである。コンテンツによってテレビ内蔵のスピーカか、サラウンドかを使い分けたいと思ったら、いちいちPS3の設定画面を開き、音声出力先を変えなくてはならない。しかも光出力の設定にあるデフォルト値が不可思議で、そこに現われるコーデックの種類一覧の殆どがデフォルトでオフになっているのである。実例で述べると、サウンド設定→音声出力設定→光デジタル→で図のような画面となる。

     見て分かるように項目が並んでいるうちの、2個所だけがオンに固定されている以外は、すべてオフとなっている。つまり、音声出力をHDMIにしている状態から光デジタルに変更しようとすると、この中のチェックを何カ所もせっせと入れ直さなくてはならないのである。(一度他の音声出力を設定して戻ってくるとチェックは全て外れている)
     これはどういう根拠があるのか皆目不可解な信じがたい仕様と言うしかない。デフォルトで全ての形式をオンにしたところで何も問題は無い筈だからだ。信号を受ける機器の方で対応してないコーデックについては無視するだけだからである。それにそもそもこれはソフトの問題というより、ハードの問題ではないかと思われる。元のストリームは1本であって、それを複数の出力に出すのだから単に制御回路をパラレルにぶら下げておいて、必要に応じてオン・オフをすればいいだけだからだ。辛口子はPS3の内部構成を知る立場にはないが、そのような設計をしていないらしい事は、この一点でもわかる。
    註:2009年9月1日に公開されたシステム・バージョン3.00にて、ようやく複数端子への音声出力が可能となった。ただし、サラウンドなどの信号が出るのは1カ所で他は通常のステレオ信号となる。例えば、HDMIと光出力双方にサラウンド信号を出す事は出来ない。実用面では大きな問題ではないと思うが、機器構成によっては不便となろう。

  • AVCRECの記録は読めない
     ブルーレイ録画機でハイビジョン記録したディスクについてでは、DRモードの信号を記録したもののみ再生出来、AVCRECは再生出来ない点も見逃すことは出来ない。これは今後のファームのアップデートで対応がされる事は一応期待できるが、本稿執筆時点ではその気配はない。このAVCRECにはソニーが規格作りに最初から絡んでいなかったという歴史的経緯があるとはいえ、消費者の都合より自分のメンツというのでは市場を甘く見ているというそしりを免れまい。
    註:2010年秋になって別の松下製BD録画機で作ったAVCRECは読める事を発見。DIGAの初期モデルで作ったディスクにはこういう事があるらしい。ただ、DIGA初期モデルで作ったBD-Rも読める装置はある訳でその意味では不可解。調べてみたら、かなり知られていた話らしい→ここ

  • 電源ケーブルが硬い
     異常なほどに電源ケーブルががっちりしており、太い上に硬い。曲げるのも少々大変なくらいである。テーブルタップに繋ぐとテーブルタップが持ち上がる。この為、PS3本体背後には電源ケーブルの為のスペースも余分に必要となる。どういう意図なのか不明だが、いささかオーバースペックではないか。
 このように見てくると、このPS3はそもそもがゲーム用PCの組み直しであって、ブルーレイ再生機能はいかにも後からとってつけたような感が拭えない。音声出力が1本しか出ないのも、ゲーム機としての使い方ばかりが頭にあったからではなかろうか。かつてのソニーであれば、こうした間の抜けたような仕様は作らなかったように思う。少なくともマニアやハイエンドアマチュアが納得するような仕様を実現するように、努力していたような覚えがある。このあたりにSONYが凋落している一因を見たような思いがした次第だ。

 ベータをあっさり切り捨てた頃から、SONYに意見メールを出すと「外部の意見など求めていない」という内容の慇懃無礼極まりない返答が来ていたものだが、その企業姿勢は全く変わっていないと思って良いだろう。辛口子にとっては、あの外人社長が交代するかどうかが、企業姿勢が変わる目安になるような気がしている。

2009.03.29記述

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