JCOMのJC-5000はファーム改良で良くなったか?
 下に書いたように使いにくさ満載だったJC-5000のファームウェアが何度かアップデートされたという案内が、JCOMのサイトに出ている。それを読むと例えばiLink機器との相性を良くしたような事も書かれているし、HD録画コンテンツを再生する時に出るプログレスバーを消す事も可能になったとあるので、またも工事費を払って導入してみた。結果はひどいものであった。なおファームバージョンは2.0.0.5である。
  • iLinkとの接続は全然駄目
     iLink端子にRecPotを接続し、さっそく録画をさせてみた。予約録画で録画機にiLinkを指定、時間が来て画面に「iLink機器の準備を始める」旨の表示が出た。間もなく当該RecPotの電源が入り、時刻が来たらRecPotの赤ランプが点灯して録画状態に入った。ところが1秒と経ずにそれは消え、RecPotの電源も切れてしまったのである。JC-5000本体のメールを見ると「誰かがiLink機器の電源を切ったから録画出来なかった」というメッセージが入っていた。自分で切っておいてそれはないのではないかと思う。それにしても、一体どういうテストで接続に対応したと言っているのだろうか。実に謎である。
     このiLinkについてはそもそも何も知らずにプログラミングしてるのではないかと思えるフシがある。例えば、JC-5000のリモコンでiLinkボタンを押すと画面にコントロールのボタンが並ぶが、その中にプレイリストというのが無いのである。従って、例えばRecPotの中に記録されている番組を選ぼうと思ったら、RecPotのリモコンを使うしかないが、RecPotの側からJC-5000を優先的に制御出来ないので、それを行う為にはまずJC-5000の側でiLink指定をし、それから今度はRecPotのリモコンを操作しないとならず、大変な手間である。更におかしいのはiLink機器が複数繋がっている時、JC-5000側で選んだ機器以外は全く見えなくなる点である。JC-5000でiLinkボタンを押し、RecPotのリモコンでタイトル一覧を出そうとしても画面に何も現れない場合は、JC-5000のiLinkメニューから機器選択をして当該RecPotを選ばないといけない。恐らく、iLink機器との間のプロトコルもちゃんと理解していないのではないか。

  • 妙な動作
     さてそれではと、内蔵HDへの録画を行い、録画が始まったのを確認してから視聴チャンネルを他の物に切り換えた。ふと画面を見ると真っ暗になり、赤い字で「信号が来ていない(E202)」と出ている。チャンネルを切り換えてみると地上デジタルからCSに至るまで全チャンネルが受信不可能となっていた。例外は録画しているチャンネルであったが、これも録画が終わると受信不可となった。最初はCATVシステムのダウンかとも思ったが、録画が最後まで行われていた事からJC-5000本体の問題だと気がついた。色々と調べる事30分、JC-5000本体のリセットでは駄目で電源ケーブルを抜き、数分待ってから電源を入れ直すと復旧する事を発見。これはたまたま私の所に来た機械が不良品なのかもしれないが、ファームのバグという可能性も充分にある。手順による再現性があるからである。

  • 変わらぬ不具合仕様
     録画開始が時刻の1秒前から始まるようになったのは改良点だが、録画予約を前後にのばせる訳ではない事に変わりはない。終了時刻の方は全く延長されないから、NHKのBS放送のように時間ギリギリまで番組があると最後のコンマ数秒が欠落するのは相変わらずだ。無論、番組表単位での予約しか出来ないし、録画指定時に視聴側の音声指定(主副音声の指定)も出来ない。ある番組は日本語で見ながら録画し、別のは英語で見ながら録画したい、という事が出来ないのである。またプログラム録画では全く多重音声を認識しないので、例えば毎週の繰返し番組をVCRで二カ国語録画指定するのは不可能である。HDに録画した物を再生している時に予約録画の時刻が来ると、突然画面にメッセージが出て気分ぶち壊しにしてくれるのも変わっていない。自動車というものを運転した事のない人間が、自動車というものはどういう物かという説明だけ聞いて設計したら出来上がってきた自動車を想像してしまう。
 かくして、この改良されたJC-5000は従来からあったSTBであるTZ-DCH500以下の性能という事とあいなった。何故ならiLink経由での外部録画機器は使えないし、内蔵HD録画も安心して使う事が出来ない訳で、しかも利用料は高く、細かな点での使いにくさはそのままだからである。即日、元のTZ-DCH500に戻すように電話をしたのは言うまでもない。また、今後、どのようなファーム改良の案内が出ようと、二度とJC-5000には切り換えない事も固く決心した次第である。
 

JCOMのSTB、JC-5000はどこがひどいか?
 まず、JC-5000とはHumax社が作ったCATV用のSTB(セットアップボックス)である。HDを内蔵、同時に2番組を録画可能であり、1番組を録画しながら別番組を視聴可能というのが最大のセールスポイントである。だが、しかし、であった。Humax社の製品に対する評判の悪さというのは定評がある。そしてその評判にたがわぬできばえであったので、それをここにまとめたい。ただし、次の条件に該当するユーザであるなら、実用上は耐えられるであろう。それは、
「番組は見るだけで気に入った物をVHSなどにダビングしてとっておきたいとは思わない」「外部端子、iLinkに増設などしたりはしない」「うるさい程に画面に出てくるメッセージは気にならない」
 というような条件である。そういう向きは以下の評価とは関係なく、CATVライフを楽しめるであろう。では、以下、本題に入る。
  • iLinkとの接続が非常に不安定
     iLink端子に接続し、外部装置として録画データを保存出来るRecPotという製品がアイオーから出ている。で、それを使ってみるとトラブルが続発するのである。大体、数回に一回は録画中に処理が中断する。RecPot上には途中までの録画だけが残るか、運が悪い時はタイトル情報だけしか残らない。ひどい時は画面真っ黒だけのデータが実時間分残される。JC-5000内部のHDに録画したデータを、このRecPotにムーブ(コピーは出来ない)する時など悲惨である。断片が残ればまだいい方で失敗すると事実上、全情報が失われるからだ。iLinkケーブルが悪いのかなど色々と試したが、症状は変わらなかった。何回かに一回というのは非常に始末が悪い。水道の蛇口をひねると、何回かに一回は泥水が出てくるような配水システムのようなもので、全く実用にはならない。なお、通常のSTBである松下のTZ-DCH500では、RecPotへの録画トラブルは皆無である。

  • メッセージ等が非常にうるさい
     リモコンを操作すると画面にいちいち細かい事が表示され、それをオフに出来ない。特に内部HDを操作して録画したものを見ようとすると、画面に進行状態のようなバー表示が出続ける。早送りや後戻りの時に出続けるならまだ分かるが、そこから再生を指示してもまだ出続け、それは何と10秒にも及ぶ。うっとおしい事おびただしい。また、番組を視聴中、或いは録画したものを再生中に予約録画が始まろうとすると、画面に「これから予約録画が始まります」などというメッセージがドカンと現れるのだ。例えば予約録画してあった番組をVHSにでもダビングしてとっておこうと思っていると、そのVHSのデータに「これから予約録画が始まります」というのが映りこんでしまうという事でもある。普通、あとで見たいからそういう物は予約するのであって、知らぬ間に行われていてこその裏番組録画であろう。映画か何かの山場だと、これ程腹の立つ事はない。また、iLink機器をリモコンで操作する時も今度は画面に巨大なコントローラが現れて、肝心な画面を隠すなど設計思想に常識が欠けている。

  • 機能が不足している例
     例えば、予約を行う時に可能なのは電子番組表から録画情報をセットする事だけである。日時指定をいきなり行う事が出来ないし、更に困るのは9時から10時までの番組を予約する時に、8時59分から録画させるという指定が出来ない事だ。STB内部の時計が正確であろうと、どうしてもコンマ何秒かの頭切れは発生する。尾部の方も同様でこの例なら10時1分まで録画させる事が出来ないので、尻切れも発生する。松下のTZ-DCH500なら前後1分ずつ外側に時刻をずらす事が可能だ。それが出来ないだけで非常に精神衛生上よろしくない。ここも実際に使う人間が設計に関与しているとは思えない点だ。

  • 動作機械音
     それ程うるさい訳ではないが、HD内蔵である以上、どうしても機械音はする。しかも内部に温度センサがあるのか電源を切ってもすぐに機械音は止まらない。長い時は30分くらいしてようやくモーター音が止まる。自動的にファームウェアをアップデートする時や、予約録画が始まる時には当然また機械音が再開されるが、それが止まるのも時間がかかる。例えば、このSTBのある部屋で睡眠を取る時には充分に邪魔になりかねないレベルの音である。

  • その他問題点
     録画予約のモードにもよるのだが、当該時刻に自動的にチューナがそのチャンネルに切り替わる時、何故か音声信号が出なくなったというトラブルに1度遭遇した。予約中はリモコンからの信号を受け付けないモードがあり、たまたまそれだった為に何も手を打てず、結局本体の電源を落とすしか無くなったので、事実上の録画失敗を招いた。他にも、例えば予約録画中に電源を切る事が出来ないのはともかく、「録画終了後に電源を切れ」というような指示が出来ない。(実は可能だというメールを頂いたのでこの項のみ訂正。ただし小さい話である。2006.12) 録画が終了して自動的に電源が切れるのは、録画開始時に電源が入っていなかった場合だけである。それ以外の時には電源は入りっぱなしという事だ。就寝時間頃の出来事だったら、装置は終夜運転となる訳だ。画面に出てくるメッセージにはユーザの確認を求めるものがあるが、YESとNOの選択時の色が分かりにくいなんてのもある。こんな具合で書き始めるときりがないのだが、ま、要するに頭でっかちの設計という事であろう。
 私は別にJCOMに怨みがある訳ではない。それどころかJCOMに加入して数年になるが、CATVとしてのサービスに不満は殆ど無い。しかしこのSTBだけは別である。とても勧められたものではない。実際、あまり評判はよろしくないようで、JCOM専用チャンネルなど見ているとやたらとこれのCMが流れる。よほど在庫を抱えているのであろう。今からでも遅くはないから、松下が新しく出したTZ-DCH2000を考えるべきだと思うが、その気配は無いようだ。(2006.12現在、JCOMの関西地区で一部採用し始めたらしいが、筆者のいる関東地区では当分無理らしい。なお、この話をすると電話の向こうでは即座に何の話か分かるようなので、相当類似の問い合せは多いのだろう) 勘ぐる訳ではないが、積極的に推進をゴリ押ししている幹部がいるのだとしたら、Humaxからリベートでももらっているのではないかとも思いたくもなる。


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