PIXELAのDVD編集ツールはどこまで使えるか?
PIXELAとは、Mac向けの様々なビデオ編集関連ツール、ハードを提供している会社である。そこのプロダクツから次の3製品を実際に購入して使ってみた結果をお知らせする。カタログ等に出ている情報は、ウソが無い限り特に触れない。使ってみた上で気がついた事のみを重点的に記す。
  • Pixe VRF Browser
     家電DVDレコーダで記録された、VRフォーマットのディスクを読むアプリ。明記されていないが、ビデオモードで記録されたDVD-R、DVD-RW等を読む事も出来る。VRモードを読む時、チャプターが入っているとそこで切れた別々のムービーとして読み出される。また、一回記録のみ可のビデオ信号は、読み出せないようになっている。一応、能書き通りの動作はするが、とにもかくにも動作が遅い。ネットで出回っているDVDリッピングツールと比べると数倍は優に遅い。VRモードだけでなく、ビデオモードも遅いので根本的にプログラミングが下手なのだと思われる。
     VRモードは、ビデオモードのUDFというフォーマットを拡張し、UDF2というモードにしたもので、MacOSXは標準ではこれを認識しないが、シェアウェアのドライバが幾つかあり、それを入れてやるとマウントさせる事が出来る。その時、本ツールはそれとコンフリクトし、動作させるとOSXそのものの再起動が必要となってしまう。なお、VRモードで記録されているムービーは、VRモードのディスクをマウントさせた時、複数ムービーでも一つとして現れるので、データだけ取り出してもそのまま活用するのは難しい。また、一回記録のみOKのビデオデータは、スクランブルされているので、そのままではデータとしては取り出せても、再生は出来ない。

  • CaptyDVD
     DVDオーサリングソフト。使ってみると、受け付けるmpeg2形式の制限がきつい。決まった何通りかの解像度以外は受け付けない(例えば、720x480は受け付けても、640x480は受け付けない。仕様と言えばその通りだが、融通が効かない)。基本的に、アップルのiDVD程度のオーサリングを行うような作りで、自分流のオーサリングをしようとすると非常にイライラするか、不可能である事を思い知らされる。ムービーとトラックが1対1にしか対応しないから、VRF Browserでチャプター毎に切られたデータを使うには、別ツールで一旦ムービーを再結合させておかなくてはならない。また、特定の機能が、それに対応するモードにしないとメニューに現れない事があり、作りが親切ではない。また、これも例によって動作が遅い。本ソフトの目玉機能に、音声トラックの左右チャンネルを、それぞれ別個のモノラルチャンネルに変換する機能がある。ところが、筆者手元にある、1.25GHz デュアルのG4マックを使っても、処理に殆ど実時間を要する。即ち、1時間のムービーなら、その処理だけで1時間かかるのである。また、そのプロセスで何かバグがあるらしく、出来上がって来るDVDを再生してみると、ビデオ信号に乱れが生じた。テレビで見ている分には、画像が一瞬止まるとか、チラつく程度の事だが、mpeg2としてエラーなデータらしく、Macで再生するとデコーダがおかしくなり、画面にノイズが出っぱなしになってしまった。また、作成出来るDVDのデータサイズが、DVDフルの4.4GBではなく、それより1GBほど小さいものまでしか作ってくれないようだ。遅いついでに、例えばメニュー画面にムービーのアイコンを入れようものなら、ビルドに物凄い時間がかかる。次に触れるDVD STUDIO PROならそんな事は全くない。
     はっきり言って、この程度ならアップル標準のiDVDの方が洗練されている。出来上がってから、エラーが分かるような事もない。自分流のDVDオーサリングをしたいのなら、同じくアップルのDVD STUDIO PROを買う方が、値段の違いがあるとは言え、よほどストレスなく確かな結果が得られる。音声トラックの左右分離は、アップルのソフトにはないが、例えばDVDレコーダーで作ったDVDを一旦mpeg2にリッピングし、音声を分離したら、それを mAC3dec 1.1(何故かこれ以降のバージョンだと、次に述べるAC3変換がうまくいかない)でAIFFに分離(この時左右チャンネルを分ける事が出来る)、DVD STUDIO PROについてくるA.PACKというAC3エンコーダで再びac3フォーマットに戻す方が良い。一見複雑な手順のようだが、処理速度が速いのでトータルでも所要時間はずっと短い。A.PACKは時々、変換途中で異常終了するが、バッチリストに処理を登録出来るので、それを保存しておき、何度か処理させる事で無駄なくリトライが出来る。AC3へのエンコードは必須ではなく、AIFFのままでもDVD化は出来るが、その分、音声部分のサイズが大きくなり、実際に収められるムービー長が減る。

  • Capty FastCoder
     DV形式のムービーを、ハードエンコーダを使って高速にmpeg2にする、ハードとアプリのセット。ハードはFireWire経由でつなぐ、タバコ箱程度のものである。これは評価以前の話であった。何故なら、ものの5分としないうちに、アプリが異常終了してしまい、まっとうに処理など出来ないからである。色々と条件を変えたり、FireWireケーブルの交換、他ソフトのチェックなどを試してみたが、別マシンでも同じ傾向があり、これは根本的にまっとうに動作しない製品だと結論せざるを得なかった。また、例え能書き通りに動いたとしても、処理速度がカタログスペックどおりとは思えない。異常終了する前の段階でのプログレスバーを見ている限り、処理をしては休み、また処理をしては休み、という具合であって、瞬間最大値ならカタログスペックかもしれないが、実際問題としては、1.25GHzのG4マシンによるソフトウェア処理に比べて、せいぜい2〜3倍というところだろう。また、この値はDV形式からmpeg2への変換であって、別形式のムービーデータであったら、まずそれをDV形式に変換しなくてはならないので、その場合は全く意味の無い事になる。ムービーを直接mpeg2に変換した方が間違いなく早いからである。
という訳で、結論としては、この社の製品は全くと言っていいほど、実用にはならない、という事になった。別にこの会社に恨みがある訳ではない(もっとも、こんな物を買わされたのだから、金返せ、という程度のものはある)が、この会社はまっとうに製品チェックすらしないまま、市場に送り出しているとしか思えないのである。ソフトウェアにはクーリングオフもリコール制度もないが、この会社のこうした姿勢は、まさしくソフト業界の三菱ふそう、と呼ぶにふさわしいのではないであろうか。

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