CoolPixとXactiを比較する

 最近手にした2種類のデジカメが、その設計思想においてなかなか対照的であったので、ここでまとめてレポートしてみたいと思う。(2010.09.20)

 スペックについてはメーカのサイトからPDFがダウンロード出来るし、画質などについては通常の評価記事に出ている事なので、辛口子の独断と偏見による比べ方を以下に列挙していきたい。まあ一言で表現すると、まさしく「Xactiはムービーカメラに写真機能の付いたもの」であり、CoolPixはその逆であると言える。Xactiは写真撮影機能もそこそこまとまっているが、CoolPixのムービー機能はいまいちで写真専用機としての色合いが濃い。

 そこでまずムービー撮影に関連した両者の違いから並べてみよう。

Xacti HD2000

CoolPix P100

動画撮影中のオートフォーカスはコンマ秒で対応する。つまりカメラをパンした場合、対象との距離が変化してもすぐに追従するという感覚である。

動画フォーカスのモードにシングルAFと常時AFという2種類がある。シングルAFを使うと動画撮影前に行ったピント合わせに従い、撮影中は固定フォーカスとなる。つまり対象物との距離が変わるとピンボケになる。常時AFだとリアルタイムに追従するが、アウトフォーカスを検知するのに2秒ほどかかる。はっきり言って使い良くない。

動画撮影時の音声は、液晶モニタの裏面に二列開いている細かい穴にセットされたマイクから拾う(上図参照)。このマイクの性能は非常に優秀で、音像定位はしっかりしていて風切り音は拾いにくく、室内での会話を収録してもまさに耳で聞いたように明瞭にとらえてくれる。また、本体から離れている為に本体の動作音を殆ど拾わない。

本体上部という変わった場所にマイクが取りつけられている。これでもしっかりと周囲の音を拾ってくれるが、感覚的に風切り音を拾い易いようだ。また、本体に密着している関係でズーム操作を行うとモーター音をしっかりと拾ってしまう。静かな環境下で動画を撮影する時にはズーム操作は禁物と言えそうだ。

基本的な操作を行う赤外線リモコンが付いており、ズーム操作もこれで行う事が出来る。つまりカメラ本体を手で押さえながらズームボタンを操作した時に起こる画面の揺れを回避出来る。パン動作は仕方ないが、電動型の雲台を使えば可能だろう。

リモコンは無いのでズーム操作は必ず本体で行う必要がある。そのため三脚に取りつけていても画面が揺れるのは避けられない。特に光学ズーム26倍という望遠性能が更に問題を顕著にしている。最大望遠では三脚を使っても揺れは大きく、ブレ防止機能も追いつかない。基本的に広角側で焦点距離は固定にして使うのが良いようだ。このあたり、いかにも取って付けたムービー機能という感は拭えない。

ムービーの保存形式は拡張子mp4で、Mac OSXでは普通に認識、再生出来る。また、iMovieでも問題なく取り込んで編集が可能。

ムービーの保存形式は拡張子movだが、コーデックはmpeg4でありMac OSXで普通に認識、再生出来る。また、iMovieでも問題なく取り込んで編集が可能。

特殊撮影の機能は無いが、動画撮影中にその瞬間のショットを静止画として別途保存する事が出来る。

解像度はフルハイビジョンより下がるが、いわゆる「高速度撮影」が可能。


 次にスチル写真撮影機能、並びにその他の違いを並べてみる。

Xacti HD2000

CoolPix P100

特別な機能はないが、色々試した限りではお任せでも多彩な条件下で特に問題が起きた事は無い。夜景もクリアに映る。花などの近接撮影も手ぶれ防止機能のお陰で手持ち撮影が可能。ただ、特に薄暗い室内のような環境下で静止画撮影をする時、シャッターボタンを軽く押してフォーカシングをしようとしてもそのレスポンスが分かりにくく、シャッターを押しているのに撮影がされずにイライラしたこともあった。静止画Wide-Dレンジという黒ツブレや白飛びを軽減させる機能があるが、試してみると余り結果が綺麗ではなく、さほど有用ではない。それよりはEVを変化させて別個に撮影、あとでPhotoshopなどでHDR合成した方が良い結果が得られる。

超ミニのジョイスティックを思わせるSETボタンというのがあって、そこに自分の好きな機能を割り当てる事が出来る(動画撮影関連機能も同様)。割当て可能な機能数は決して多くはないが、それを使う限りに於いて当該機能を親指一本で即座に呼び出す事が可能になり右手の親指だけで撮影、録画などを含めて全ての操作を行える。面白いアイデアであり、慣れると思いの他実用的である。

ブラケティング機能(露出を変えながら連続撮影する機能)がある。プラスマイナスで最大1EV、3コマが撮影される。また、アクティブ D-ライティングという対象の明度差が大きい時に暗部の潰れを防ぐ機能、カメラをパンさせながらパノラマ撮影をする時に前画面をずらして薄く表示する位置合わせ補助機能、逆光HDRという一種の自動HDR処理など撮影モードは非常に多彩である。あまりに多いのでとっさに選択するのが大変だが、その為かユーザのプリセットを保存する機能がある。また、撮影した静止画をプレビューしながら、音声メモを録音する機能もある。暗い場所でのフォーカシング用補助光や赤目軽減プリ発光などがあるのも、カメラメーカならでは。夜間撮影機能は極めて優秀で、月の出てない闇夜でも空に浮かぶ雲をくっきり映す(東京の場合)。

プリセットがあってもそれを呼び出す為にはメニュー操作をしなくてはならないので、「答一発」という訳にはいかない。撮影モードによって使用可能な機能が異なるので全貌を理解するのは大変だが、実際にはお任せモードでも殆ど問題は無いだろう。マニアックな撮影テクニックを駆使するような場合、豊富な機能のお世話になればよい。

カメラ本体にシュー(ストロボなどを取りつける台)がある。ビデオ撮影のライト或いは外部マイクの使用を想定したものと思われる。本体にはマイク端子、イヤホン端子、充電器を接続出来るDC IN端子などが巧みに格納されている。特にイヤホン端子は録画した動画を再生しながらモニターするのに便利である。

ドッキングステーションという「台」が同包されており、そこにカメラ本体をセットすると充電、パソコンとのUSB経由でのやりとり、テレビなどへのAV及びHDMI出力などを行う事が出来る。充電は本体へのDC INかこのドッキングステーションを経由して行う。USB経由での充電機能はない。一方でUSBからプリンタに出力したり、HDDを接続してそこに撮影データを保存したり、HDDから直接データを再生してテレビに映す機能がある。

本体にある端子は2種類のみで、一つはミニHDMI端子、もう一つはUSB+AV端子である。シューが無い(これは意外だった)ので外部ストロボを使うには工夫が必要。マイク端子も無いから外部マイクによる録音は不可能。ムービーの音声確認も本体側面のミニスピーカで行うしかない。

USB+AV端子は独自形状で専用の付属ケーブルでないと接続出来ない。いわゆるミニUSBとは異なる。充電もこの端子で行うが、専用ACアダプタの他、USBハブなどからの供給でも可能である。

液晶は向きを自在に変えられるし、カタログなどで明らかなように本体にぴたりと合わせる事でカメラ本体がコンパクトになる。実際、ズボンのベルトに付けるような簡易バッグでも格納出来る。一方でビューファインダは付いていない。

液晶部分はカメラ本体密着ではなく、持ち上げて上向きに動かす事が可能である。接写などで便利と思われる。ビューファインダもあるが、表示はどちらか一方にしか出来ない。ビューファインダはTTLではなく小型液晶を覗くもので、こちらの液晶の方が解像度は低く、文字などにジャギーが目立つ。ビューファインダには視度調整ダイアルがあり、視力に合わせて調整出来るあたり、カメラメーカならではである。

ズームをしてもレンズが本体から出て来る事はなく、キャップをしたままでも記録内容の確認などが可能。

電源をオンにするとレンズ内筒が1センチほど前に出て来る。最大ズームで6センチまで伸びる。レンズキャップをしているとエラーが出て、オンにならない。キャップを外さないとメモリカードの内容をチェックする事も出来ない。

電池残量表示の脇に「分」が表示される。動画撮影がそれだけ可能という意味らしい。面白いアイデアである。

電池残量インジケータは残りが少なくなるまで表示されない。余計な表示を避け、モニタ画面をすっきりさせる点では有意義だが、あとどの位使えるかという目安が分かりにくい。また、動画撮影中には液晶画面に30分からカウントダウンする目盛り表示がされる。30分しか撮影出来ないという訳ではないらしい(未確認)。良く分からない仕様であり、ここでもとって付けた動画機能という感を受ける。

液晶モニタ表面はアンチグレア処理がされていて、指紋などは殆どつかない。

液晶モニタ表面は光沢で指紋はつきやすい部類である。

ホワイトバランスは通常の晴れ、曇り、蛍光灯などのプリセットと、白紙を撮影してプリセットを保存する機能とがある。

ホワイトバランスは、晴れ、曇りなどのそれぞれに+3から-3までの強度指定がある。例えば曇りを設定してもそこでマイナス値をセットすると画面は青っぽくなる(通常の曇り補正は赤っぽくなる)。白紙を使うプリセットは普通のタイプである。

フルオートで夜の街を撮影。手持ち。ノイズもなく夜景が極めて自然にとらえられている。手ぶれ防止機能も良く効いている。

南天の月を撮影。最大ズーム、手持ち、露出のみ手動。実際の画面上での月サイズは右上に白黒で示した比率で、中央は月のみを拡大したもの。

原色系撮影サンプルを示す。フルオートモードでホワイトバランスのみ変更。被写体のハイビスカスは極めて強い赤だが、そのどぎつさの再現はともかくとしてグラデーションなどの忠実度は高いといえる。

撮影時は左に同じ。プログラムオートでホワイトバランスのみ変更。被写体の目に痛い程の強い赤は再現の極めて難しいサンプルとはいえ、ハイキー調の絵作りの中、高彩度部に色飽和が見られるのが気になる。


もどる