b-modileとWiMaxを比較した

 ドコモ回線を使い低速であるが比較的安価にデータ通信を実現した日本通信のb-mobileと、対照的に独自の電波を使って高速通信を提供するWiMax。この両者を使って比べてみたのでここにレポートする。(2010.12.08)末尾に追記(2010.12.10)

 ここで試した装置はb-mobileが「b-mobile WiFi」、WiMaxが「URoad-7000SS」(以下、7000SS)である。大きさを比較する為にiPhone4と並べてみた。

 まず最初に使い勝手より得た結論をまとめておく。WiMaxについて言うと、とにかく繋がれば速いに尽きる。サービスエリアは評判よりは良いというのが実感で(ちなみに東京での話)、鉄筋の建物内でも窓から3メートル位までであれば問題なく通信出来た。走行中の電車の中でも通信断の頻発というような事は全く無く、試した限りでは安定して通信出来た(ただし地下鉄は別)。通信速度は能書きに偽り無しというところで、自宅で使っているBフレッツ+AirMacと比べても殆ど遜色はない。YouTubeのホームページは即座に現れるし、ムービーを選択すれば直ちに再生が始まるというのが実感である。ただし、電波の周波数が高い関係で物陰には敏感で、都心でのビルの谷間などでは電波が来なくなりやすい。逆に言うと「電波強度分布はまだらになり」易く、ほんの数メートル動いただけで受信可能になる事もある。電波強度は本体のランプで判断出来るが、黄色状態でも通信に問題はない。建物の奥で電波が届かないような時でも、本7000SSのようにWiFi経由で使うものなら受信機だけを窓の傍に置いておけば対応出来る。ネットを見ると熱を持つというコメントが多いが、やや熱めに暖かくなるという程度で手に持てない程に熱くはならないようだ。12月に購入したので秘かに改良されているのかもしれない。

 一方でb-mobileである。写真で分かるように7000SSより一回り小さい。厚さもやや薄い。b-mobileはドコモの電波を使うので、建物内や影でも電波が途切れにくい。WiMaxが駄目でもこちらのb-mobileが通じたケースは少なくなかった。一方で通信速度は遥かに遅い。しかもディレイが大きいようで実用面ではウェブ・サーフィンや電子メールなどが限界、ストリーミングについてはYouTubeのような動画はおろか、radikoのような音声も駄目である。通信料金はSIMカードと一体化で1ヶ月か半年か1年の前払い方式。アマゾンで見ると1年分が大体26000円強だから月間2200円程度となる。WiMaxは最近、最低1年使う事を条件に月額3880円というのを始めたので、この違いをどう評価するかが選択の分かれ目となるだろう。実は辛口子はこの月額を見てそれまで半年間使っていたb-mobileをWiMaxに切換える事にした次第。なお、b-mobile本体はかなり熱くなる。はっきり言って充分にカイロ(懐炉)として使えるほどで、内ポケットに入れたまま長時間使うと低温やけどになるのではないかと心配になる。

 以上が実際に使った上での主な感想である。以下、両者の細かい相違について更に述べておく。

 電源ボタンを押してから実際に通信可能になるまでの時間を測ってみた。b-mobileは約70秒を要した。一方で7000SSはほぼ30秒程度でREADYとなり、WiMaxに軍配が上がった。実用面で見るとこの違いは案外大きく、WiMaxは必要だと思った時に電源を入れてもあまりストレスを感じないのではないかと思う。

 色々な面でこの両機器は対照的である。例えば本体カラーも写真ではどちらも黒っぽく見えるが、b-mobileは純黒、7000SSは濃い赤である。どちらも指紋は良く付くが地色の関係で7000SSの方が指紋は目立つ。

 フル充電での使用可能時間はb-mobileが4時間、7000SSが3.5時間となっていて、これは実際に使ってみてもほぼその通りと言って良いようだ。違うのは充電と外部電源である。b-mobileは標準ミニUSB端子が使われていて、外部バッテリーをそこに繋ぐと充電しながら使用する事が出来る。ただしUSB端子は充電用であって通信には使えない。一方、7000SSは独自仕様の端子が使われていて、充電には専用のACアダプタが必須である。USB変換ケーブルがついてくるが、そこから電源供給をするとそれによって本体が動作しても本体内蔵のバッテリーは充電されないという相違がある。7000SSは充電ケーブル側にLEDが組み込まれていて、充電中は赤、充電完了で緑に点灯するので分かりやすい。

 本体のランプも両者それぞれ違いがある。b-mobileには4つのランプがあり、そのうち動作中は2つのランプが点滅する。一つはWiFiのステータスであり、もう一つはドコモラインとの通信状態である。これは一定周期で点滅するだけでそれ以上の情報は表示されない。バッテリ状態を示すランプはバッテリ減で赤くなる。これは充電中には赤のまま点滅するが、時によって点灯したままになる事があってその違いが良く分からない。充電完了は消灯なので点滅が終わったのを見て充電完了と勘違いするのではないかと気になる。7000SSは本体の電源オン、WiFiのステータス、電波強度の3つのランプがあり、WiFiランプは通信に応じて細かく点滅するから実際のデータ通信状態を把握出来る。電波強度ランプは赤、黄、緑に変化するが黄でも通信は問題なく出来る。赤の場合、しばらく待つと再スキャンをするらしく、その後に黄になる事もあるので、少し辛抱強く状態を見るのもコツのようだ。

 このモバイル通信アダプタ機器は進化が激しく、料金体系もどんどん変わって来ているのでいちがいには断言出来ないが、WiMaxは通信品質、料金などを考えてもなかなか魅力的な選択肢となってきたと思う。マイクロ基地局も出来たようだし、とりあえずこの世界での台風の目となっているのではないだろうか。超高速な次世代規格も発表されているが、そこまでの高速性が必要なのかと疑問になる位に現段階での通信速度は速い。自宅に光を引かずに全てをこのWiMaxで済ませるという選択肢も非常に合理的に思えて来るところだ。出かける時にはアダプタごと持って行けばいい。プロバイダ料金は別になるが、Niftyなどキャンペーンを行っている所も少なくない。

 b-mobileを半年ほど使ったのに比べ、WiMaxはまだ1週間強程度の使用であるものの、既に通信速度だけでb-mobileに戻る気はしなくなった。実際に通信に使っているのはiPadとMacBook Airであるが、通信速度に関するストレスは全く無い。WiMax電波が来ない所ではとりあえずiPhoneの3G画面で何とかカバーも可能なので、個人的にはWiMaxはなかなか薦められる選択だと思う。

【追記】ハッカージャパン誌の2011.01号がWiMaxの通信状態を検証している(202頁)。それによると2009年2月にWiMaxが試験サービスを始めて以来ずっとフォローをしてきたが、当時とは見違える程に通信状態は改善されているという。2010年(多分秋だろう)に調べたようで、それによると山手線1周で瞬断が4回のみ、地下道もかなりの部分で通信可能、渋谷から新橋まで路線バスで移動しながらでもコンスタントに通信出来たそうだ。


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